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ジョン・サール
01概要カード
言語行為論を打ち立て、中国語の部屋でAIの「理解」に異議を唱えたアメリカの哲学者。
1932年生まれのアメリカの哲学者で、カリフォルニア大学バークレー校で長く教えた。「約束する」という発言そのものが行為であるとする言語行為論、プログラムを実行するだけでは意味の理解は生まれないと論じた中国語の部屋、意識を脳の生物学的な働きとして捉える立場など、言語と心をめぐる議論の中心に立ち続けてきた人物である。
このページのポイント
- 言語行為論:発言は描写ではなく行為である(『Speech Acts』1969年)
- 中国語の部屋(1980年):プログラムの実行だけでは理解は生まれない
- 生物学的自然主義:意識は脳の生物学的な過程だとする立場
タグ: 言語行為論 / 中国語の部屋 / 意図性 / バークレー校
関連エントリ
02対話編:ヒロシとミカ
(ゼミの後の廊下。ヒロシが昨日の約束をすっぽかした言い訳をしている)









03データ編
経歴
1932年、アメリカ・コロラド州デンバー生まれ。ウィスコンシン大学から奨学金でオックスフォード大学に学び、1959年に博士号を取得した。同年からカリフォルニア大学バークレー校で教え、長く教授を務めた。言語哲学、心の哲学、社会の哲学と、扱う範囲の広さで知られる。なお2019年、セクシャルハラスメントに関する大学の方針への違反があったとして、バークレー校はサールの名誉教授の地位を取り消した。
言語行為論
師であるジョン・オースティンの問題意識を受け継ぎ、「約束する」「命令する」「謝る」といった発言は、世界を描写するだけでなく、それ自体がひとつの行為であるとした。1969年の著作『Speech Acts』で、発言が行為として成立するための規則(構成的規則)を分析し、言語行為論を体系づけた。言葉が制度や約束事と結びついて現実を動かす、という視点は、その後の社会の哲学にもつながっている。
中国語の部屋と心の哲学
1980年の論文「Minds, Brains, and Programs」で提示した「中国語の部屋」は、プログラムを実行するだけのコンピュータは記号の意味を理解していない、という主張のための思考実験である。あわせてサールは、意識を脳の生物学的な過程として捉える「生物学的自然主義」を唱えた。意識は神経の働きによって生じ、脳の中に実現しているのであって、ソフトウェアのように脳から独立したものではない、という立場である。
意図性の研究
著作『Intentionality』(1983年)では、心の状態が「何かについてのものである」という性質、すなわち意図性(志向性)を研究の中心に据えた。信念はある事柄についての信念であり、願望はある対象への願望である。サールによれば、言葉の意味もこの心の意図性をもとに成り立っており、記号そのものに意味が宿るわけではない。この考えが、中国語の部屋で記号操作を批判する根拠にもなっている。
04AI分析
意見が分かれる分岐点
サールをめぐって評価が分かれるのは、意識を脳の生物学的な働きとして説明しながら、物理主義にも二元論にも分類されることを拒む姿勢である。生物学に根ざした説明で十分だと見るか、主観的な経験の説明としてなお不足があると見るかで、受け止め方が分かれる。
前提の違い
- 心や意識は、生物学的な脳の過程として説明できると見るか
- 言葉の意味や意図性は、記号の使い方だけでは決まらないと見るか
- 主観的な経験(一人称の視点)は、科学の三人称的な説明に収まると見るか
現代への接続
- チャットAIの流暢な返答を「理解」と呼べるかという論争は、中国語の部屋が出発点になっている
- 音声アシスタントやSNSでの「謝罪」「約束」の言葉が行為として何を生むかは、言語行為論の問いとして残っている
- 意識を脳の仕組みでどこまで説明できるかという神経科学との境界の問題
※ AI分析は事実の整理と解釈の提示であり、特定の立場への断定ではありません。
05出典・参考文献
- John Searle, Speech Acts: An Essay in the Philosophy of Language, Cambridge University Press (1969)
- John Searle, “Minds, Brains, and Programs”, Behavioral and Brain Sciences 3 (1980)
- John Searle, Intentionality: An Essay in the Philosophy of Mind, Cambridge University Press (1983)
- Internet Encyclopedia of Philosophy, “John Searle”
書籍リンクは収益ゾーンとしてこの出典セクションに置く方針(試作では実際のリンクは入れていません)。