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囚人のジレンマ

01概要カード

2人とも協力すれば得をするのに、互いに裏切ることが合理的な選択になってしまうジレンマを問う問題。

共犯の疑いで別々に尋問される2人の囚人。2人とも黙秘すれば軽い刑で済むのに、相手の出方が分からない以上、自白した方が自分の刑は軽くなる。2人ともこの「合理的な」判断をすると、結果は2人とも重い刑になる。

個人にとって合理的な選択が、集まると全員の不利益になるという逆説は、ゲーム理論の出発点となり、国際政治から日常の協力関係まで、驚くほど多くの場面に同じ構造で現れる。

No. 107 分野 ゲーム理論・意思決定理論 種別 問題・思考実験 時代 20世紀 難易度 入門 初出 フラッド/ドレシャー 1950年(RAND研究所の実験)

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タグ: 囚人のジレンマ / ナッシュ均衡 / 協力 / 裏切り

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02対話編:ヒロシとミカ

(授業帰りの駅までの道。ヒロシはグループ課題で徹夜したばかり)

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ヒロシ
グループ課題、相方が結局なにもしてこなくて、俺だけ徹夜した。あれ何なの。
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ミカ
相手からすると、「サボっても誰かがやる」が一番得な構造だったんだと思う。囚人のジレンマってやつに近い。
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ヒロシ
あの、黙秘するか自白するか選ぶやつ?
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ミカ
そう。2人とも黙秘すれば刑は軽い。でも相手がどう出るか分からない以上、どっちに転んでも自白した方が自分の刑は軽くなる。だから自白が「合理的」なの。
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ヒロシ
で、2人とも合理的に自白して、2人とも重い刑。……合理的って言葉、信用していいのかな。
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ミカ
私も最初は「協力すればいいだけじゃん」と思ってた。でも約束しても相手が守る保証がないと、裏切る方が安全、っていう構造自体が問題なんだよね。
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ヒロシ
たださ、何回も同じ相手と組むなら話は別じゃない?次があるなら、裏切ると次に返ってくるし。
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ミカ
そこが面白いところで、繰り返し版の実験だと協力が残りやすいらしい。1回きりかどうかで、答えの形が変わるの。
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ヒロシ
じゃあ来週も同じ相方だって分かってたら、平和だったのかもな、俺の睡眠時間。
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ミカ
かもね。とりあえず次回は担当表を先に作ろう。裏切る余地の方が先に消えるやつ。

03データ編

定式化

1950年、アメリカのシンクタンクRAND研究所で、メリル・フラッドとメルビン・ドレシャーが、協力と裏切りを選ぶゲームの実験を行った。

これをもとに、プリンストン大学の数学者アルバート・タッカーが「囚人のジレンマ」と名づけた物語の形に仕立てたとされる。

共犯者と疑われる2人の囚人が、別々の部屋で尋問を受ける。2人とも黙秘すれば、証拠不十分でともに懲役1年。片方だけが自白すれば、自白した者は釈放され、黙秘した者は懲役10年。

2人とも自白すれば、ともに懲役5年。互いに連絡は取れない。

利得表:なぜ裏切りが「合理的」になるのか

相手が黙秘した場合、自白すれば釈放(0年)で黙秘より得をする。相手が自白した場合も、自白すれば5年で、黙秘して10年になるより得をする。つまり相手の出方にかかわらず、自白した方が自分の刑は軽くなる。

これを優位戦略という。ところが2人ともこの合理的な判断に従うと、ともに5年の刑になり、2人とも黙秘すれば得られたはずの1年ずつという結果を逃す。個人の合理性と集団の合理性が食い違う点が、この問題の核心である。

自分\相手黙秘(協力)自白(裏切り)
黙秘(協力)両者とも懲役1年自分は懲役10年、相手は釈放
自白(裏切り)自分は釈放、相手は懲役10年両者とも懲役5年

繰り返すと答えが変わる

政治学者のロバート・アクセルロッドは、1980年代にこのゲームを繰り返しプレイするコンピュータプログラムの大会を開催した。

優勝したのは、最初は協力し、次回からは相手の前回の手をそのまま返す「しっぺ返し(Tit for Tat)」という単純な戦略だった。

1回きりのゲームでは裏切りが合理的でも、同じ相手と繰り返し向き合う構造では、協力が安定した振る舞いとして残ることが示された。

議論の広がり

囚人のジレンマの構造は、犯罪の話に限らない。

軍拡競争(軍縮すれば双方が得をするが、相手の武装が怖くてやめられない)、価格競争(値下げ競争で業界全体が疲弊する)、漁場や水資源の利用(取り尽くせば全員が損をする)など、「個人にとっての合理的な選択が、集まると全員の不利益になる」場面の分析に広く使われてきた。

ゲーム理論の最も有名なモデルであり、社会科学全般の基礎的な道具になっている。

04AI分析

意見が分かれる分岐点

分かれ目は、「合理的」を1回きりの個人の得失で判断するか、繰り返しや関係性を含めて判断するかにある。前者では裏切りが唯一の合理的な答えになり、後者では協力が安定した戦略として現れてくる。

前提の違い

現代への接続

※ AI分析は事実の整理と解釈の提示であり、特定の立場への断定ではありません。

05出典・参考文献

書籍リンクは収益ゾーンとしてこの出典セクションに置く方針(試作では実際のリンクは入れていません)。